社労士オフィスろーどの小林です。
昨今ではダブルワークをされている方が多くいらっしゃるかと思いますが、自身の社会保険の加入状況を気にされたことがあるのではないでしょうか。
今回のブログでは、ダブルワークした場合の社会保険の加入要件、手続き、社会保険料の計算についてご紹介させていただきます。
〈社会保険の加入要件〉

社会保険とは、高齢化、病気やケガなどのリスクに備えて、私たちの生活を保障するための制度です。社会保険の適用事業所で働いている方は、社会保険の被保険者となります。
ただ、パートタイマーなど所定労働日数・所定労働時間が短い労働者には、以下のような加入要件があります。
1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上かつ、
1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上である者
通常の労働者とは正社員のことを指しますが、正社員ですと週40時間程度、月20日(週休2日)程度働くのが一般的な基準です。
そのため、上記の加入要件に当てはめますと、週30時間以上、月15日以上働いている方は社会保険に加入することになります。これを「4分の3基準」といいます。
また、上記の加入要件を満たさない場合でも、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の事業所(「特定適用事業所」と呼ばれます)では、次の全ての要件を満たされている方は社会保険に加入することになります。
① 1週間の所定労働時間が20時間以上
② 月額賃金88,000円以上
③ 学生ではない
④ 2ヶ月を超えて使用される見込みがある
事業所の従業員の規模によって、異なる加入要件を提示させていただきました。
これらの加入要件は、ダブルワークであっても同じように適用されますし、二以上の事業所で社会保険に加入することも可能です。
例えば、A社とB社があり、どちらも特定適用事業所ではないとします。
A社で30時間、B社で10時間働かれている方は、「4分の3基準」に当てはめますと、A社では社会保険に加入し、B社では社会保険に加入しないということになります。
このように、二以上の事業所で勤務していた場合でも、一事業所ずつ加入要件を確認していくことになります。
〈二以上事業所勤務者の社会保険手続きのポイント〉

二以上事業所で社会保険に加入する場合、10日以内に事業所の所在地を管轄する日本年金機構事務センター、または年金事務所に以下の必要書類を提出する必要があります。
提出方法は、電子申請、郵送、または窓口持参となります。
【事業所で用意する書類】
・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
【被保険者が用意する書類】
・健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届
・現在片方の事業所で使用している健康保険被保険者証・資格確認書
・マイナンバーを記載して提出する場合、マイナンバーが確認できる書類および身元(実存)確認書類
→マイナンバーを記載しない場合、基礎年金番号を記入すれば提出不要
特にポイントとなるのは、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」です。

こちらの書類を提出する目的は二つあります。
一つ目は、選択事業所(主たる事業所)を明確にするためです。
健康保険に加入した後は、マイナ保険証を使用されるか、マイナ保険証を発行されていない方は資格確認書を使用されます。二以上事業所で健康保険に加入し、例えば二枚の資格確認書が届くようなことはありません。主たる事業所に選択された事業所の資格確認書を使用することになります。
二つ目は、事業所ごとの保険料の負担割合を決定するためです。
後ほど詳しく説明いたしますが、二以上事業所で勤務される場合、社会保険料は按分されます。二以上事業所勤務届に事業所ごとの報酬月額を記載することで、日本年金機構事務センターまたは年金事務所より「二以上事業所勤務被保険者標準報酬決定通知書」が事業所に届きます。それぞれの事業所で、通知書に記載された通りの社会保険料を控除することになります。
〈二以上事業所勤務者の保険料計算方法〉

社会保険料は、被保険者の報酬月額から「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」にて標準報酬月額を算出し、等級が決定されます。そして、等級ごとの保険料率の社会保険料が控除されます。
「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は都道府県別に保険料率が決められています。二以上事業所勤務者の場合、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」に記載した選択事業所(主たる事業所)の所在地の保険料率で計算いたします。
二以上事業所勤務者の社会保険料は、以下の二つの手順で計算します。
〈手順①〉事業所ごとの報酬月額を合算した額で標準報酬月額を算出し、社会保険料を導き出す。
例えば、A社の報酬月額が30万、B社の報酬月額が10万とし、静岡県の保険料率(令和7年度)を適用するとします。
【健康保険料の計算】
30万円(A社)+10万円(B社)=40万円(合算した報酬月額)
保険料額表より、標準報酬月額は41万円、等級は27
等級27の健康保険料は20,090円
〈手順②〉社会保険料を報酬月額の割合で按分する。
【健康保険料の按分】
A社での健康保険料負担
→20,090円×4分の3=15,067.5円
B社での健康保険料負担
→20,090円×4分の1=5,022.5円
これで事業所ごとの健康保険料が求められますので、ダブルワークの方の健康保険料が決まります。
〈終わりに〉
最近ではダブルワークをされている方や、ダブルワークが就業規則で認められる事業所も増えてきています。
ダブルワークを始める際には、適切に社会保険料を管理するため、勤め先の事業所に必ず申告するようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

小林 沙貴