以前から「若者らしい発想」に過度に期待することに対してモヤモヤを感じていました。
最近、脳科学者の茂木健一郎氏の、創造性は「経験×意欲+準備」で生まれるという定義と出会い、すっきり整理することができました。
「若者らしい発想」とは、固定観念に捉われない創造性に溢れたものであると認識している方が多いように思います。私もそう思っていました。ただ、実際に現場で多くの若者と対話し、事業を共にして感じる素直な感想は、クリエイティビリティのある驚くような発想に出会うことはほとんどないということです。
むしろ、経験を重ねた先輩方の方が、核心を捉えた画期的な発想を持っていることが多いのが事実です。
茂木健一郎氏は著書『脳を活かす仕事術(PHP研究所)』の中で、「お年寄りよりも、若い人のほうが、頭が柔軟で創造力があるという言説は間違いである。創造性は年齢・性別・境遇にかかわらず、誰しもが発揮しうるものである。」と述べています。
創造性は「経験×意欲+準備」で生まれるという方程式に当てはめると、経験値の多い先輩方の方が創造性は豊かであることが分かります。
お年寄りはたくさんの「経験」をしています。一方、若者は経験値は少ないかもしれませんが、未来に夢を抱き、強い意欲を持って生きています。
その上で私が考えたのは、その両者を組み合わせることで創造性の発揮を高める、もしくは培うことに繋がるのではないかということ。茂木健一郎氏の方程式にヒントを得て、新たな価値は「若者(意欲)×若者(意欲)」ではなく、「若者(意欲)×お年寄り(経験)」の方が生まれやすのではないかという仮説を立ててみました。
そんな仮説に基づき、ある事業で私が尊敬するおじいさんチームと、これからが楽しみな若者チームとを引き合わせてみました。やはり、お互いに刺激し合ったようで、何かが生まれそうな予感は確かに漂っていました。今後も意識的に「若者(意欲)×お年寄り(経験)」の場をつくり実験していきたいと思います。
最後に忘れてはいけないのは「+準備」。私にとっての準備とは、お年寄りであろうが、若者であろうが、一人の人間として感謝の気持ちを持ってお付き合いをさせて頂くことです。
「ありがとう」が自分の周りを明るくする。「おかげさま」が自分を明るくする。