ナナメが果たす役割

投稿日:2019.06.30

昨年に引き続き、市内で解体業を営む株式会社成美様の安全大会にお招き頂きました。安全大会は成美の社員様をはじめ、関係会社、グループ会社の社員様が一同に会す重要な機会であり、私はその場で「安全な職場づくり」をテーマにお話をさせて頂いております。

当初は解体の現場で働いた経験のない私が、毎日現場で働く職人の皆様に対して、講演を通して何が伝えられるだろうか?などと考えたりもしました。そもそも、冷静に考えてみると、36年という人生の中で関わることのできた仕事は、ごくごく少数なわけです。
そんな中ではありますが、お話をする機会を頂いた時には、明確に2つのことを意識して取り組ませて頂いております。

1つ目は自分の仕事に誇りを持つこと。私も自分の仕事に責任を持ち、日々、精一杯働いているつもりです。まだまだ足りない部分も多いですが、まずは等身大の自分に自信を持つこと。そして、講演や研修の際には、『自分が仕事を通して素直に心で感じたこと、頭で考えたことを、相手の立場でわかりやすくお話すること』をテーマに準備を重ねています。

2つ目は、ナナメの役割を果たすこと。上司・先輩は上下関係、同期や友人等は横の関係です。研修講師や社会保険労務士として会社にお邪魔する際は、そのどちらでもないのです。縦でもないし、横でもない、つまりナナメなのです。そして、このナナメの立場の人からのメッセージが、意外と人の心に届いたりします。
私はこれを7年間の社会教育の現場の中で学び取りました。子どもたちにとって学校の先生や親は縦。友達は横。私のような地域のお兄さん、いやおじさんはナナメの立場になります。このナナメの角度だからこそ、色んなこだわりやしがらみといったブロックを掻い潜り、子どもの心にストンと届くということを何度も体験してきました。

その理由を私は以下のように分析しています。ナナメの存在との関わりは日常ではなく、非日常となります。この非日常での体験で得られた情報は、鮮度高く重要なものとして脳が受信するのだと考えます。しかし、その情報は、日頃から先生や親から何度も口を酸っぱくして言われてきたことが多いわけで、少なからず脳には近い情報が既に存在するわけです。この両者が脳の中で結びついて、「やっぱりそうだったのか。これからは〇〇することにしよう!」と行動を変えるきっかけとなる。このような流れではないかと捉えています。

今回の安全大会では、私はこれからの時代は自分の身は自分で守る必要があり、「自律」をテーマにお話をさせて頂きました。
冒頭の社長のご挨拶、常務からの安全に対する取組説明の中でのポイントは「自分の身は自分で守ること。そのために自分で考えて現場で行動してほしい!」でした。

ナナメの役割を果たせたかどうかは甚だ疑問ですが、職人の皆様に負けないよう邁進あるのみです。

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