最近読んだ本で印象深かったのが、日本のトップマーケター神田正典氏の「人間学×マーケティング」。神田氏は、渋沢栄一氏の論語と算盤の中の言葉を例にだして、論語を人間学に、算盤をマーケティングという現代に即した言葉に置き換え、以下のように表現しています。
マーケティングは「人間学」によってうまくいく。
「人間学」もまたマーケティングによって、本当の意味で世の中を潤していくことができる。
つまり、「人間学」とマーケティングは、とてもかけ離れているように見えて、実はとても近いものである。
非常に共感しました。資本主義の中で事業を行い、社会に貢献するためには、やはり、売り手よし(自分の家族や従業員が喜ぶ)、買い手よし(お客様が喜ぶ)、世間よし(地域や国の人たちが喜ぶ)の『三方よし』の事業でなくてはならないと確信しています。そのどこかが欠けた事業を続けていると、どこか(誰か)に負担や不満が集中し、継続することができなくなると考えています。
そして、三方よしの事業を展開していくためには、まずは資金を確保できる力が必要となります。綺麗ごとばかり言っていても売上を確保できなくては、やりたいことは継続できませんので、事業を行うにはマーケティングが不可欠です。
変化が激しいこれからの時代のマーケティングにおいては、お客様が置かれている環境や心境が変化することを理解し、いかに過去の成功事例を捨て去り、自分の分析、見解、アイディアを信じ、新たな価値づくりにトライし続けられるかが重要になると考えています。
その一方で、マーケティングを推し進めていくと、利益拡大が目的となり、人や会社はそもそも何のために存在するのか?といった道徳心が失われていく。さすれば、従業員や地域の皆さんに迷惑をかけてしまい、やはり継続ができなくなる。渋沢栄一氏は非凡なマーケティングの才覚を生かし500社以上の会社の設立・育成に携わり、日本資本主義の父と呼ばれています。しかし、本当に偉大と言われる所以は、資本主義の制度設計の大役を果たしながらも、マーケティングに偏重することで、道徳心が失われ、結果として事業が継続しないという資本主義の問題点を100年以上も前に見抜いていたことであると言われています。
著書の中で、あらゆる組織では人間学とマーケティングの双方を兼ね備えた人材が必要となる。しかし、そんな人材を獲得することは難しい(中小企業は特に)。そんな状況下で実践できる具体的な手法が紹介されており非常に参考になります。中小企業の経営者様・管理者様、これから事業を起こしたい人にお勧めしたい本です。
この本を読み、ますます「人」の育成が必要になると感じました。
最近、強く意識して実践しているのがアンラーニング(あえて古い学びや実績を捨てること)。
学びや実績を増やすラーニングも大切ですが、これまでの経験から、あまり知識や実績を蓄えすぎると、頭や体が重くなり、行動が鈍るような気がします。
ラーニングスタイルは、変身し続けなくてはならない時代においてはリスクでもあると私は捉えています。
これからは知識より行動が大切。3~5年をひと区切りとし、動物のように古い表皮を脱ぎ去り、脱皮し続ける“脱皮スタイル”こそが、これからの人生を豊かに生き抜くスタイルではなかろうかと勝手に信じています!笑