コロナの影響を受けて新幹線や電車を使う機会はほとんどなくなり、移動は全て車となりました。4月の初めに、ただ運転するだけの時間で終わらせるのは勿体ないと感じ、聞いて学ぶことができるCD教材をいくつか購入しました。この1ヶ月間、繰り返し聞き続けているのは、東洋思想研究者である田口佳史先生が解説する「孫子(そんし)」です。
「孫子」は、約2,500年以上前の中国春秋時代に、思想家の孫武によって書かれたとされる兵法書のことです。兵法書とは戦いの書物であり、クラウゼヴィッツの戦争論と並び、東西の二大戦争書と呼ばれています。「孫子」以前においては、戦争の勝敗は運しだいという考え方が主流であったそうです。そのような中、孫子は過去の戦争データーを集めて、研究し、共通性のある法則をまとめ、戦いの勝敗には様々な法則や理論的な根拠が影響していることを明らかにしました。
兵法書というと、積極的に戦いを仕掛けて多くの勝利を得るべし!といった教えのように思いますが、孫子の教えは全くの正反対であり、戦争は国家の存亡、国民の生死に関わる重大事のため、決して一時の感情や勢いに任せて軽々しく決定されるべきものではない。それでも避けられずに戦いが発生した時に、負けない強い国家(会社・チーム)にしておくために綿密な戦略や計画を立て、日々準備しておくことが大切である、と私は理解しました。
田口先生の13篇からなる孫氏のポイント解説を毎日聞いている中で、『人に致して人に致されず』という言葉が強く印象に残りました。「人に致す」とは、自分が主導権を握り、自分の思いに沿って周囲の人を動かしていくこと。「人に致される」とは、その反対で、他人に主導権を握られて、思うように自分が動かされてしまうこと。田口先生は仕事で成果を上げ、人生を主体的に生きている人は必ず人に致す側である。すなわち自分が主導権を握っている。それには立場や役職は関係ない。サラリーマンであっても置かれた場所で人より多くを学び、上司・先輩の信頼を勝ち取り、自分が主導権を握り仕事を進めていくことは、いくらでも可能であると仰っていました。
そして主導権を握るために必要なのは信頼関係であり、自分に心服している部下・後輩は喜んで自分の指示に従い動いてくれるのに対し、信頼関係のない部下・後輩を動かすなんていうのは至難の業であると補足をしています。
では、信頼はどうしたらできるのか?私は有言実行につきると考えます。言っていることとやっていることが違う人は、いくら小手先の術を用いてもダメです。そして、部下・後輩を持つ立場になるまでに、しっかりとトレーニングを積んでおくことが大切だと思います。
昨日は約4カ月ぶりにF-designのメンバーがリアルに集まって活動を行いました。
若いメンバーが集まるF-designの活動を実践道場と捉え、自らの人間力を高めていこうと思います!