雇用保険制度の基礎知識II「失業手当ってなに?」~社会保険労務士事務所が分かりやすく解説~

投稿日:2023.12.03

社労士オフィスろーどの川名天翔です。
前回は雇用保険の基礎知識Ⅰ「雇用保険制度の概要」についてご説明いたしました。
今回は雇用保険の基礎知識Ⅱとして、雇用保険制度でも利用されることの多い「失業手当」についてご説明させていただきます。

失業手当とは、失業した人が安定した生活を送りつつ、1日でも早く再就職するための支援として給付され、新しい仕事に就くまでの経済的支えになる制度です。
それでは、ここからはよく質問を受ける内容について説明をしていきます。

・私は失業手当をもらえますか?

失業手当を受け取るには、2つの条件があります。

①「失業の状態」である
失業手当を受け取るためには、「失業の状態」であることが前提となります。
「失業の状態」とは、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態」となっています。
そのため以下のような状態にあるときは、失業手当を受けることができません。
 ・病気やけがのため、すぐには就職できないとき
 ・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
 ・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
 ・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

②退職日以前の2年間に、雇用保険の加入期間が通算して12か月以上ある
ただし、会社都合で退職した場合は退職日以前の1年間に、雇用保険の加入期間が通算して6か月以上ある場合でも可能です。

・いつからもらえますか?

支給日は管轄のハローワークに必要書類を提出し、求職の申し込み後、待期期間の7日間を経てからとなります。
また退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって以下の通り待期期間が異なります。
■自己都合・・・待期期間7日間+給付制限期間2カ月
■会社都合・・・待期期間7日間

・いつまでもらえますか?

退職理由が「自己都合」か「会社都合」か、年齢、雇用保険の加入期間によって給付日数が異なります。
<自己都合の場合>
主な退職理由例
 ・キャリアアップのための転職
 ・仕事や人間関係が合わなかった
 ・懲戒解雇 

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

<会社都合の場合>
主な退職理由例
 ・会社が倒産してしまった
 ・人員整理により解雇された

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

※受給期間は原則として、退職した日の翌日から1年間となります。
失業手当の申し込み等が遅れると、所定給付日数分すべての失業手当が受給できない場合もありますので、注意が必要です。

・手続きはどのように行いますか?

失業手当を受給するためにはハローワークに以下①~⑥の書類の提出が必要です。
雇用保険被保険者離職票ー1
(出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」)
雇用保険被保険者離職票ー2
(出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」)
③個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票)
④身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
⑤証明写真(たて3cm×よこ2.5cm)2枚
⑥本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード

終わりに

今回は雇用保険の基本知識IIとして、失業手当についてご説明いたしました。
実際に労務実務を行う中で、すぐに離職票が欲しいというご依頼を多くいただきます。失業手当は受給期間が決まっており、退職した場合は直ちに手続きをしなければ、もらえたはずのお金も受け取れなくなる可能性がありますので、注意が必要です。
失業手当の受給にあたって困ったことがあれば、ハローワークや当社のような社会保険労務士事務所に相談することをおすすめいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

川名 天翔

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