社労士オフィスろーどの川名天翔です。
今回は皆様にも馴染みがあり、よくご質問をいただく「有給休暇」についてご説明させていただきます。
有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために制定された「給与をもらって休める労働者の権利」です。
それでは、ここからはよく質問を受ける内容について説明をしていきます。
Q1.有給はいつ、何日もらえますか?
次の2つの条件を満たすと有給をもらうことができます。
①入社してから6か月勤続して雇われている。
②全労働日の8割以上を出勤している。
基本は労働基準法で定められた以下の表の日数をもらうことができます。
会社が任意でそれ以上の日数を付与しても問題ありません。役職のついている管理監督者も有給をもらうことができます。
※有給には2年の時効がありますので、注意が必要です。
アルバイトやパートなど、所定労働時間が30時間未満かつ週の所定労働日数が4日以下の短時間労働者も下記の表のように比例付与としてもらうことができます。
Q2.会社は社員からの有給申請を断ることができますか?
労働者から有給の申請があった場合は、会社は原則断ることが出来ません。
ですが、労働者が有給で休むことによって事業の正常な運営を妨げる場合は、別の日に変えてもらうことが出来ます。(これを「時季変更権」といいます。)
Q3.会社は社員に有給を取得させないと、どうなりますか?
会社は10日以上有給が付与されている労働者に対して、1年で5日、時季を指定して取得させなければなりません。(これを「時季指定義務」といいます。)
違反した場合は一人につき、30万円の罰金があります。
なお、会社は10日以上有給が付与されている労働者に対して、有給管理簿を作成しなければなりません。
管理方法は、紙や勤怠システムなど種類は問いませんが、以下の項目を明記する必要があります。
・有給を付与した日
・残りの有給日数
・有給を取得した日
Q4.残った有給は会社に買い取ってもらうことはできますか?
原則、有給の買い取りは禁止されています。
理由は、そもそもの有給休暇の目的は「労働者の心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するため」と定められているため、目的に反してしまうからです。
ですが、労働者が退職する場合で有給を使い切ることができなかった時に会社が買い取ることに関しては禁止されていません。しかし、退職時に会社が有給を買い取ることは義務ではありませんので注意が必要です。
終わりに
今回は皆様からよくお問合せいただく有給休暇についてご説明いたしました。
有給休暇を活用することによって、労働者は心身のリフレッシュを図ることができ、会社としても労働者の健康や離職率の低下、生産性向上などにつながりやすくなります。正しい理解をして、運用することが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
川名 天翔