社労士オフィスろーどの千葉佳汰です。
今年改定予定もあり、皆様も興味関心があると思います「社会保険の適用範囲拡大」についてご紹介いたします。
令和6年10月より社会保険の加入対象範囲が大きく変わります。
実際に社会保険の適用範囲拡大の内容について、解説していきたいと思います。
適用範囲拡大とは、何が拡大されることですか?
社会保険の適用拡大とは、社会保険に加入できる短時間労働者(パートタイマーやアルバイト)の範囲が拡大されることです。
令和6年10月からは、加入義務の判断基準となる企業の従業員数が、以下の通り101人以上→51人以上の企業となります。
引用:厚生労働省「chirashi_jigyonushi.pdf (mhlw.go.jp)」
会社の従業員数によって、社会保険加入義務要件が異なります。
従業員数は「厚生年金保険加入者数」で判断します。現在(2024年4月28日時点)の要件は以下の通りとなります。
■企業の従業員数が100人以下の場合
① | 週の所定労働時間が30時間以上であること (※正社員として働く従業員の週労働時間の3/4以上であること) |
② | 2ヶ月を超える雇用の見込みがある |
③ | 学生ではない |
■企業の従業員数が101人以上の場合
① | 週の所定労働時間が20時間以上であること (※正社員として働く従業員の週労働時間の3/4以上であること) |
② | 所定内賃金が月額8.8万円以上 |
③ | 2ヶ月を超える雇用の見込みがある |
④ | 学生ではない |
令和6年10月からは、従業員数101人以上の要件が従業員数51人以上までに範囲拡大されます。
つきましては、現在従業員数が100人未満の企業であっても、51人以上の従業員がいる場合は適用拡大に該当します。
該当する企業に勤務されている方は、現状の働き方の場合に社会保険加入要件を満たすのか、予め確認が必要となります。
社会保険に加入するメリットは何ですか?
社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の総称のことをいいます。
加入のメリットは以下の3つがあります。
メリット①
社会保険に加入することで、各保険制度を利用すること可能となり、給付や手当金をもらうことが出来ます。
例えば、健康保険に加入していると「傷病手当金」や「出産手当金」という給付を受けることが出来ます。
引用:厚生労働省「001188900.pdf (mhlw.go.jp)」
メリット②
社会保険料の半額は会社が負担してくれます。
社会保険料は、標準報酬月額にそれぞれ健康保険料(料率9.84%)厚生年金保険料(料率18.3%)介護保険料(料率1.64%)をかけた金額を半額は自己負担、もう半額は会社が負担してくれます。
メリット③
厚生年金に加入することで、将来もらえる年金額が増えます。
国民年金加入者は基礎年金を、厚生年金加入者は基礎年金に加えて厚生年金も上乗せすることができ、国民年金に加入するより多く年金を貰うことができます、
さらに、厚生年金に20年以上加入すると、加給年金も受給することができます。
私は対象となりますか?
Q1.従業員数が70人の企業に働いています。労働契約上は週の所定労働時間は16時間です。10月以降で残業をして20時間を超えてしまう場合があります。この場合は社会保険適用拡大による加入義務範囲の対象となりますか?
A1.加入義務は発生しません。
社会保険加入義務要件は労働契約を基に判断されます。
業務が繁忙な月で一時的に残業が増えて20時間を超えてしまった場合は、加入義務は発生しません。
ただし、契約上の週の所定労働時間が20時間に満たない場合でも、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上見込まれる場合には、3か月目から社会保険に加入となりますのでご注意ください。
Q2.労働契約上では私の1か月の給料は8万円となっています。
残業によって8.8万円を超えた場合は加入対象となるのでしょうか?
A2.加入義務は発生しません。
A1同様に社会保険加入義務要件は労働契約を基に判断されます。
残業による割増賃金は臨時的な収入となるため、社会保険加入対象の賃金には含まれません。
おわりに
従業員51人以上100人以下の事業所で働く短時間労働者の皆さまは、現状の働き方、そしてこれからの働き方について会社と相談し、社会保険の加入を検討する必要があります。
仕事以外のご家庭の事情等もあるかと思いますので、早めに相談されていくことをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
千葉 佳汰