社労士オフィスろーどの千葉です。
今回は令和7年度4月より新設された「育児時短就業給付金」についてご紹介させていただきます。
「育児時短就業給付金」が始まった理由


共働き家庭が増えている現代において、「子どもが小さいうちはフルタイム勤務は難しい」という方が多くいらっしゃいます。
とはいえ育児のために時短勤務を選ぶと、お給料が減ってしまうという問題が発生します。
そこで国は、子育てと仕事の両立を応援するために、時短勤務中の収入減少を補う目的で「育児時短就業給付金」を新設しました。
この給付金は、経済的な不安を軽減し、安心して育児とキャリアの両立ができるよう後押しすることを目的としています。
「育児時短就業給付金」を受給できる人は?

次の条件をすべて満たす従業員が対象となります。
- 雇用保険に加入していること
- 子どもが2歳未満であること
- 1日6時間程度の短時間勤務をしていること
※1週間当たりの労働時間を少しでも短縮していれば、短時間勤務の扱いとなります。 - 勤務先の「育児時短制度」を利用して働いていること
- 育児休業終了後、引き続き同じ事業主のもとで就業していること
パートや契約社員の方でも、対象になりますが、
短縮後の1週間の所定労働時間が20時間を下回ってしまうと対象外となりますので、ご注意ください。
「育児時短就業給付金」の支給額・支給率はどのくらい?
支給額は、育児時短勤務を開始したことによって減った賃金の低下率によって支給率が決まります。
原則として、時短勤務期間中の賃金月額に対して最大「10%」の金額が給付金として支給されます。
時短勤務後の賃金が、時短勤務開始前の賃金の90%を超える場合は、以下の通り給付率は調整されます。

申請手続きに関する詳細は、以下リンクよりご確認ください。
厚生労働省「001395073.pdf」
育児時短就業給付金のシミュレーション

ここでは、育児時短就業給付金の該当となる方が実際にいくら給付を受けることができるのか、シュミレーションをしてみます。
【該当者の労働条件】
・育休前:1日8時間・週5日勤務(週40時間勤務)、月給20万円
・育休後:1日6時間・週5日勤務(週30時間勤務の時短勤務)、月給15万円に減少
【育児時短就業給付金の支給額の計算】
<賃金低下率の計算>
育休後の月給150,000円 ÷ 育休前の月給200,000円 × 100 = 75%
この場合、時短勤務後の賃金は時短勤務開始前の賃金の75%となり、90%以下であるため、支給率は「10%」が適用されます。
<支給金額の計算>
したがって、育児時短就業給付金の支給額は、育休後の月給150,000円 ×支給率 10% = 支給額15,000円となります。
おわりに
育児時短就業給付金は令和7年4月1日から開始された新しい給付金です。
育児時短就業給付金を活用することにより、これまで以上に育児と仕事の両立がしやすくなるかと思います。
また、育児休業給付金をすでに受給していて、育児時短就業給付金を引き続き申請するという場合には、省略できる提出書類もあるため、活用しやすい給付金であると思います。
育児時短就業給付金について、ご不明な点などがございましたら、お気軽に社労士オフィスろーどまでお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

千葉 佳汰