2026年に改正される「障害者の法定雇用率」とは? 〜社会保険労務士事務所が分かりやすく解説〜

投稿日:2026.02.08

社労士オフィスろーどの大竹です。

2026年も様々な法改正・制度改正が予定されています。
今回はその中でも、近年改正が続いており、なおかつ企業経営や労務管理に関わりの深い「障害者雇用」に関する内容を紹介させていただきます。

「障害者の法定雇用率」とは?

改正内容を説明する前にまず、「障害者の法定雇用率」とは何かを説明いたします。

障害者の法定雇用率を定めている「障害者雇用促進法」は、障害者の方々が能力等に応じた職業に就き、そこで障害者が安定して就業することを目的とした法律です。
障害者の方々の職業の安定を通じて、誰もが自らの希望や能力、適性に応じた社会参加・社会貢献ができる「共生社会の実現」を目指すという理念が障害者雇用促進法の根底となっています。

上記の理念・目的を実現するための措置の一つとして、法律では事業主に対して「障害者雇用率の達成義務」を課しています。
「障害者の法定雇用率」とはその名の通り、事業所の労働者のうち、法律で定める障害者の雇用割合のことを指します。

2026年2月現在の民間企業の障害法定雇用率は「2.5%」です。
民間企業は労働者数の2.5%以上の障害者を雇用することが、法律によって義務付けられているということになります。

出典:厚生労働省「障害者雇用のご案内 〜共に働くを当たり前に〜」
https://www.mhlw.go.jp/content/000767582.pdf

現在の法定雇用率は2.5%ですので、民間企業は常時雇用する労働者数が「40人」以上になると、障害者の雇用が義務付けられるということになります。(40人×法定雇用率2.5%=1人)

「常時雇用する労働者」とは、どのような労働者を指す?

以下2つに該当する労働者が「常時雇用する労働者」となります。

パートやアルバイトといった名称は問わず、上記2つに該当すれば常時雇用する労働者としてカウントします。

なお、1週間の所定労働時間が「20時間〜30時間未満」の労働者は「短時間労働者」としてカウントし、「0.5人」として人数に含めます。

法定雇用率の対象となる「障害者の要件」は?

「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」のいずれかに該当する障害をお持ちの方が対象となります。

また、それぞれの障害ごとに以下のような条件があります。

「雇用する障害者数」の数え方は?

以下表のように障害の重さや就業時間に応じて、雇用する障害者数の算定方法が変わります。

出典:厚生労働省「障害者雇用のご案内 〜共に働くを当たり前に〜」
https://www.mhlw.go.jp/content/000767582.pdf

* 身体障害者の「重度」→ 障害等級が「1・2級」または「3級で重複障害がある方」
* 知的障害者の「重度」→ 療育手帳(A)または地域障害者職業センターで重度知的障害者と判定された方

障害者の就業が困難な業種のために、現在は「除外率制度」が適用されています

障害者を雇用して能力を発揮してほしいと考えていても、障害があると就業が困難な事業も存在します。
例えば、身体障害をお持ちの方に、建設業等の主に身体を用いて就業することは、環境整備等の工夫をしなければ相当に困難です。

このように機械的に一律の雇用率を適用することがなじまない性質の職務も存在することから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、障害者の雇用義務を軽減する制度(除外率制度)が現在は適用されています。

出典:厚生労働省「除外率制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001133551.pdf

※例:常時雇用する従業員1,000人の建設業(除外率10%)の場合

 従業員1,000人 × 法定雇用率2.5% = 25人(本来必要な障害者雇用人数)

(従業員1,000人 – 除外数100人)× 法定雇用率2.5% 
 = 22.5人 →  22人(除外率適用後の必要な障害者雇用人数)

ただしこの除外率制度は、ノーマライゼーション(誰もが平等な社会)の観点から平成16年4月に廃止となっており、経過措置として当分の間は除外率が業種ごとに引き続き設定されていますが、廃止の方向へ段階的に除外率を引き下げ、縮小する期間の最中となっています。

今後は除外率制度が廃止へと向かうため、各企業は計画的に準備を進めていく必要があります。

障害者の法定雇用率を達成できない企業はどうなる?

常時100人以上を超える企業には、2つの対応(罰則)が求められる

常時雇用労働者数が100名を超える企業は、毎年1回「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」に障害者の雇用状況を報告する必要があります。

そこで障害者の法定雇用率を達成できなかった場合、以下2つの対応が必要となります。

①「障害者雇用納付金」の納付(未達成1人当たり月額50,000円)
 → 未達成(不足)1人当たり月額50,000円を機構に納付する義務が発生します。

出典:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
https://www.jeed.go.jp/disability/q2k4vk000002t1yo-att/q2k4vk000003p1yn.pdf

②「企業名の公表」等の行政指導
→ 未達成の場合、即座に企業名が公表されてしまうというわけではありません。
まずは「障害者の雇入計画の作成(2年間)」を命令され、その計画の実施状況が悪く、なおかつ行政からの指導にも対応できない状況になってしまうと、企業名が公表されてしまいます。

法定雇用率を超えて障害者を雇用すると、「障害者雇用調整金」が支給されます

前述した「障害者雇用納付金」の納付に対して、常時雇用労働者数が100名を超える企業が法定雇用障害者数を超えて障害者を雇用している場合、「障害者雇用調整金」として、超過人数1人あたり29,000円を受給することができます。

出典:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
https://www.jeed.go.jp/disability/q2k4vk000002t1yo-att/q2k4vk000003p1yn.pdf

毎年4月1日から5月15日までに機構へ報告・申請をすると、その年の10月〜12月頃に障害者雇用調整金を受給することができます。

2026年7月に障害者法定雇用率が「2.7%」に引き上がります

前述した通り、2026年2月時点の民間企業の障害者法定雇用率は2.5%となっていますが、2026年7月以降は「2.7%」へと引き上がります。

現在は常時雇用する労働者数が40人以上になると民間企業は障害者の雇用が1人義務となっているところが、本改正により「37.5人」以上を常時雇用する民間企業は、障害者を雇用する対象企業となります。(37.5人×法定雇用率2.7%=1人)

おわりに

今回ご紹介させていただいた障害者の法定雇用率の改正や、除外率制度の廃止という制度改革の流れからも分かるように、障害をお持ちの方々も含めて全員が社会参加・社会貢献できる「共生社会の実現」を目指すために、障害者雇用を推進させる取り組みが今後ますます求められていきます。

障害者の方々を企業に迎え入れて、活躍をしていただくためには、その方々が能力を発揮するための職場環境の整備や人材配置の工夫等が必要となります。
それらは簡単なことではありませんが、障害者雇用調整金の給付をはじめとする制度による支援や、障害者雇用に関する助成金等を活用しながら、障害者雇用に向けた準備を進めていくことが大切だと思います。

社労士オフィスろーどでは各事業所様を適切にサポートできるよう、引き続き調査・情報発信を実施してまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


大竹 岳

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