36協定とは?36協定の更新時に必ずチェックすべき3つのポイント~社会保険労務士事務所がわかりやすく解説~

投稿日:2026.03.08

社労士オフィスろーどの吉田です。
今回は、新年度に向けて必ず確認しておきたい「36協定(正式名称:時間外・休日労働に関する協定届)」について説明させていただきます。

36協定って何?

労働基準法では、本来「1日8時間・1週40時間」を超えて働かせることを禁止しています。しかし、36協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで、「例外的に」その制限を超えて残業をさせることが可能になります。
この協定の名前は、労働基準法「第36条」に規定されていることに由来しています。

「いくらでも残業できる」というこれまでの慣例をなくし、過度な長時間労働を防いで「従業員の健康を守る」ために、現在は36協定に厳格な上限ルールが設けられています。
36協定は、単に残業を許可するだけの書類ではなく、「何時間までなら、無理のない範囲で業務を継続できるか」を会社と従業員様の間であらかじめ約束し、残業に適切な『ブレーキ』をかけるための大切な手続きになります。
そのため、この届出は「一度出せば終わり」ではなく、現場の実態に合わせて定期的に内容を見直し、更新していくことが重要です。

36協定の更新時にチェックすべき3つのポイント

新年度に向けて36協定の更新を行う際、特に注意していただきたいポイントを3つに絞り、説明いたします。

(1)労働者代表を「正しく」選出しているか?

36協定は、会社と「従業員の代表」が話し合って結ぶものです。この代表の方は、以下のルールで選ぶ必要があります。

  • 管理職(部長・課長など)ではないこと
  • 全従業員の「投票」や「挙手」などで、民主的に選ばれていること

「会社が特定の人を指名する」のではなく、改めて「36協定を結ぶために、代表者を選出します」と周知して選ぶことが大切になります。

(2)残業時間の実態は、「上限」を超えていないか?

これまでの1年間を振り返って、実際の残業時間が協定で決めた「上限」に収まっていたかを確認しましょう。
36協定の残業時間・休日労働には、知っておくべき2つのルールがあります。

①原則ルール: 残業時間は「月45時間・年360時間」まで。

上記画像では赤枠で囲った部分が、原則ルールの『残業時間は「月45時間・年360時間」まで』に当てはまります。

②特別条項: 繁忙期など、どうしても原則(月45時間)を超えてしまう特別な事情がある場合に、さらに枠を広げることができるルール。

もし、過去1年で月45時間を超える月があったり、今後超える可能性が少しでもある場合は、この「特別条項」を付けた協定を準備しておく必要があります。

特別条項はどの業種でも出せますが、あくまで「一時的な忙しさ(納期のひっ迫や決算業務など)」に対応するためのものです。そのため、このルールを使って原則を超えて残業できるのは、1年のうち「6ヶ月まで」と決められています。
また、特別条項があっても「月100時間未満(休日労働含む)」「年720時間以内」等の、法律で定められた「絶対的な上限」は、超えることはできないので注意が必要です。

(3)届出の「範囲」と「期限」は適切か?

36協定は、原則として「事業所ごと」に届け出る必要があります。新しく支店や営業所が増えた場合は、その場所ごとに届出が必要ですので、漏れがないか確認しましょう。
そして、最も注意したいのが「期限」です。 多くの会社が設定している新年度が始まる4月1日の起算日を、1日でも過ぎてから届け出た場合、その空白期間の残業はすべて「法律違反」になってしまいます。
36協定の届出がない状態での残業は、たとえ残業代を1円単位まで計算して支払っていたとしても、「本来禁止されていることをさせた」という事実だけで労働基準法違反になります。
3月中に余裕を持って、管轄の労働基準監督署へ届け出る(または電子申請する)スケジュールを立てておきましょう。

おわりに

36協定の更新は毎年のルーティーン業務になりがちですが、従業員様の健康と会社を法的リスクから守る大切な契約です。
形式的に書類を出すことが目的ではなく、一年に一度、自社の働き方を見直す「健康診断」のようなものだと思います。

また、変形労働時間制を採用されている場合は、この機会に設定に矛盾がないか併せて確認しておくと安心です。

何かご不明な点などございましたら、社労士オフィスろーどまでお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

吉田 早織

Menu