「振替休日」と「代休」では、給与計算において何が違うの?~社会保険労務士事務所がわかりやすく解説~

投稿日:2026.06.14

社労士オフィスろーどの吉田です。
今回は、給与計算における「振替休日」と「代休」の違いについて説明させていただきます。

「振替休日」と「代休」の違い

この2つの休日は似ていますが、法律上の意味は全く異なります。
まずはそれぞれの意味を整理します。

「振替休日」とは?

振替休日とは、「あらかじめ」休日と定められた日を労働日とし、その代わりに出勤予定だった他の労働日を休日とする制度です。
例えば、「日曜日(休日)に出勤する代わりに、あらかじめ今週の木曜日(労働日)を休みにする」といったケースがこれに該当します。 あらかじめカレンダーを書き換えるようなものなので、出勤した日曜日は「普通の平日」扱いになり、代わりに休んだ木曜日が「休日」になります。

「代休」とは?

代休とは、労働者が休日出勤をした「事後(休日出勤日以後)」に、出勤予定だった他の労働日を休日に代える制度です。
例えば突発的なトラブル対応などで日曜日(休日)に出勤し、その代償として後日「じゃあ、代わりに今週の木曜日(労働日)に休んでいいよ」とするケースがこれに該当します。
この場合、休日に働いたという事実は消えないため、後から休みを与えても法律上は「休日労働」をしたことになります。

「振替休日」と「代休」の違い

2つの最大の違いは、休みを決定するタイミングが「事前」「事後」かにあります。 これにより、給与計算での割増賃金の扱いが以下のように変わります。

労務担当者が給与計算時にチェックすべき「2つのポイント」

労務担当者様が実際の運用で、上記の違いによる「落とし穴」にはまらないために、給与計算上必ず確認しておきたいポイントを2つに絞って説明いたします。

①振替休日と代休では「割増率」が異なることを理解しているか

先ほどの比較表の通り、この2つは給与計算時の割増率が大きく異なります。

  • 振替休日: 事前に休日と平日を入れ替えているため、休日労働に対する割増(35%以上)は発生しません。ただし、週をまたがって振り替えた結果、「週法定労働時間」を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要となります。
  • 代休: 休日労働の事実は消えないため、後から休みを与えても、働いた日に対して必ず35%以上の休日割増賃金(※法定休日の場合)の支払いが必要になります。

「代わりに休ませたから割増はなしでいい」ではないという点が、実務で最も間違いやすいポイントです。

②振替休日を取得する場合は「週40時間ルール」を押さえているか

「振替休日にすれば割増賃金は一切かからない」と思われがちですが、ここに実務上最大の落とし穴があります。
振替休日を行ったとしても、その週の労働時間が40時間を超えてしまった分の時間外労働(25%以上の割増)を支払いはしなくてはなりません。
(100%は振替休日で相殺されるため、残りの25%の割増分の支払いのみ必要になります。)

(具体例)

月曜日〜金曜日まで毎日8時間(計40時間)働いた人が、同じ週の日曜日に「振替出勤」をした場合(代わりの休みは翌週に取得)。

この場合、その週は「月〜日」で合計48時間働くことになります。事前に振替手続きをしていても、週40時間を超えた日曜日の「8時間分」に対しては25%以上の残業代が発生します。
コストを最も低く抑えるためには、できる限り「同じ週(月〜日)の中で入れ替える」ように現場へ案内するのが実務上のコツです。

振替休日・代休に関するよくある質問

①「今週日曜に出る代わりに、来週のどこかで休んで」は振替休日になる?代休になる?

A. 「代休」になります。
振替休日にするためには、休日出勤する前日までに「来週の〇月〇日(水曜日)を休みにする」と、具体的な日を事前に特定して本人に通知しなければなりません。
「どこかで休んで」という曖昧な状態のまま日曜日を迎えてしまった場合は、事前の入れ替えが成立していないため、すべて「代休」扱いとなります。この場合、35%以上の休日割増賃金が必要になりますので注意してください。

②振替休日は、いつまでに取得しないといけない?

A.法律上の期限はありませんが、「同じ給与計算期間内」がベストです。
月をまたいでしまうと、当月の給与計算で一度「休日出勤分」を支払い、翌月に「欠勤控除」をする等の複雑な処理が発生することがあります。労務担当者様の負担を減らすためにも、できるだけ同じ給与月の中で消化させるルールにすることをおすすめします。

③振替出勤の日に、もし本人が体調不良で休んだら?

A.給与計算上は「欠勤」扱い(または本人の希望で有給取得)となります。
振替手続きをした時点で、その日は法律上「出勤すべき日」に変わっています。そのため、当日急に休んだ場合は、通常の平日に風邪などで欠勤したのと同じ扱いになります。
なお、当初予定していた「振替で設定した休みの日」は、すでに休日になっているため、そのまま休ませて問題ありません(改めて別の日に出勤日を振り替える必要もありません)。

※これが事後に休みをあげる「代休」のケースであれば、当日休んでも単に「休日出勤がキャンセルになっただけ」なので、欠勤の処理は必要ありません。

おわりに

「振替休日」と「代休」は一見似ていますが、これまで見てきたように、法律上の位置づけや給与計算におけるルールには大きな違いがあります。

ただ「代わりに別の日に休ませればいい」というわけではなく、振替休日であっても週40時間を超えれば割増賃金(25%)が発生したり、月をまたいで休日を取得した場合は当月と翌月で複雑な給与相殺の手続きが必要になったりと、実務上の処理は想像以上に複雑で難しいものです。

現場の急なトラブル対応やシフト変更の裏には、こうした労務の「落とし穴」がたくさん隠れています。
「自社の今の処理方法は本当に合っているのかな?」「未払い残業代などのリスクがないか心配……」など、少しでもご不明な点や不安なことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

吉田 早織

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