今回はご質問を頂くことが多い、「会社勤めをしながら資格取得を目指すメリット」についてご紹介をさせて頂きます。
正直、私ごとき者の経験談を紹介すること自体がどうなのかと悩みました。しかし、このテーマについては、20代から40代前半までの会社員の方より、本当によくご相談を頂きます。誰かのお役に立てばという思いで書かせて頂きました。
まず、資格を取得するには、多くの勉強時間を確保しなくてはなりません。資格によってはある程度のお金も必要になります。若い頃はあまり考えなくて良いかもしれませんが、ある程度の年齢になると、家族や会社の理解が得られなくては挑戦が困難なケースもあろうかと思います。 ですから、そこまでの資源を投じて、場合によっては周囲に少なくない負担をかけてまで、その資格を得るメリットがあるのかについて検討しなくてはなりません。真剣に検討をしていくと、必ず「なぜその資格を取得したいのか?」という目的に行き着きます。
資格取得を目指す目的
目的とは、何のためにその資格を取得したいのか?という質問に対する答え(理由や動機)のことだと理解して下さい。
私は社会保険労務士以外にもいくつかの資格試験に挑戦してきました。その当時の自分の気持ちを思い出し、目的(理由や動機)を整理してみました。
①自分を成長させたい。【20代前半】
②会社の中で認められたい。社内のライバルに負けたくない。【20代半ば】
③担当業務の専門家になりたい。社内だけでなく社外からも認められたい。【20代後半】
④将来、独立して仕事ができるような核となる資格がほしい。【30代前半】
⑤事業を展開する上で、持っていると有利になる資格がほしい。【30代半ば】
①~⑤の目的を持ち、資格試験に挑戦した結果、希望した資格を全て取得することができました。そういう意味では、年代ごとに選択した資格のレベルに相応しい目的を持つことができていたのかもしれません。 そして、資格取得が上手くいかない人の共通の特徴として、私はこの目的が曖昧であることが挙げられると思います。仕事等で疲れている中、場合によっては家族や会社に迷惑をかけながら、毎日の勉強を続けることは容易なことではありません。その継続を支えるだけの明確な目的(強い覚悟)が必要になるわけです。
目に見えるメリット
私もいくつかの資格を取得してきました。現在は社会保険労務士と国家資格キャリアコンサルタント資格を生かして事業を行っており、次のようなメリットを実感しています。
- 有資格者でなければ行えない仕事を行うことができる。
- 顧客をはじめ周囲の人達に、自分が何者(どんな仕事をしている人)かを伝えることが できる。
- 有資格者であることで顧客に一定の信頼を与えることができる。(無資格のコンサルタントで仕事を受注することはかなり大変だと思います)
- 一定の信頼がベースとなり、仕事、出会い、情報等が得られやすくなる。
- 自社の核(初志、特徴、強み)が明確となるため、事業展開をする上で大きなブレが生じにくい。
一方でこの2つの資格以外はほとんど活用できていません。これは私に限ったことではなく、多くの資格者が同様の状況であると推察します。多くの資格者が実際に仕事の中で資格を生かせないわけですから、「仕事に資格なんか必要ない!」との意見が少なくないことも理解できます。
しかし、これは目に見えるメリットだけを考慮した意見であり、私は目に見えないメリットも重要であると考えています。
目に見えないメリット
私が考える目に見えないメリットとは、資格取得を目指した活動は、「社会人として重要な成長機会」になり得るという点です。これは他の学びでは代替えが難しいと考えています。その理由は次の通りです。
- 他の学びの場とは違い、最後には試験を合格しなくてはならない。時間やお金もかかっているため真剣に勉強をすることで、一定の知識を習得することができる。
- 個人で計画を立てて、成果を出すという「成功体験」が得られる。
- この「成功体験」を仕事や人生に応用していくことができる。(自律的な働き方に繋がる)
- 一定の知識を得た証として資格がもらえる。有資格者であることが周囲に伝わることで、自信をつけると共に有資格者としての責任感が芽生える。
- 周りの仲間も自分と同様に真剣に学んでいるため、会社以外に良き仲間を得ることができるチャンス。(私の場合は資格取得がご縁となり、現在は仕事上のパートナーにまで関係が発展している方が数人います)
まとめ
今回は「会社勤めをしながら資格取得を目指すメリット」についてご紹介をさせて頂きましたが、いかがであったでしょうか?
私自身も24歳で初めて宅地建物取引士資格に挑戦をした時は、「自分をレベルアップしたい」、「会社に認めてほしい」という程度の漠然とした目的でした。しかし、約10年後に社会保険労務士資格に挑戦をした時には、「独立して仕事ができるレベルの核となる資格がほしい」という明確な目的にまで育てあげることができました。
今、振り返ると、24歳の時に宅地建物取引士資格に挑戦をしていなかったら、10年後に社会保険労務士資格に挑戦することはなかったと思います。
明確な目的を持つ重要性はこれまで述べてきた通りです。しかし、人生の目的・目標がわからないからこそ、まずは資格にチャレンジしてみよう!という方も多いのではないかと感じています。
もし挑戦するかどうか迷っているならば、誰かに迷惑をかけてしまうケースを除いて、私は挑戦した方が良いと考えます。特に若い方は積極的にチャレンジすることをお勧めします。その経験が後の人生にきっとプラスの効果を与えてくれるものと信じています。
11月には、「会社勤めをしながら資格取得を目指す5つのコツ」についてご紹介をさせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。
大道 和哉