時間外手当に関するよくある質問~社会保険労務士事務所が分かりやすく解説~

投稿日:2024.03.31

社労士オフィスろーどの川名天翔です。
今回は皆様にも馴染みがあり、よくご質問をいただく「時間外手当」についてご説明させていただきます。

「時間外手当」とは、会社が従業員に法定労働時間を超えて労働させた際に、通常の賃金に上乗せして支払う賃金のことです。

また、時間外労働と同じような意味で使われている言葉に「残業」がありますが、厳密には少し意味が異なります。

残業とは、会社が定めた所定労働時間を超えて労働することを指します。
残業には①法定内残業と②法定外残業(時間外労働)の2種類があります。
つまり、残業は①と②の両方を指しているのに対して、時間外労働とは②のみを指していることになります。

今回は、会社が通常の賃金に割増をして支払う義務のある「時間外手当」・「休日手当」・「深夜手当」について説明をさせて頂きます。
それでは、ここからはよく質問を受ける内容について説明をしていきます。

Q. 時間外労働や休日出勤、深夜労働を行なった場合の割増率は?

時間外労働や休日出勤、深夜労働した場合は、通常の賃金より多く賃金をもらうことができます。
それぞれの割増率は以下の通りです。

参考:東京労働局「しっかりマスター」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

Q.時間外手当は、「基本給」だけが時間外手当単価に含まれますか?

「時間外手当単価」とは、時間外手当を計算する際の1時間あたりの単価のことをいいます。
時間外手当単価は「基本給」以外に手当等も含まれます。
しかし、厚生労働省令で定められている以下の7種類の賃金は、時間外手当単価に含まれません。

①家族手当(※)
②通勤手当(※)
③住宅手当(※)
④子女教育手当
⑤別居手当
⑥臨時に支払われた賃金⑦一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
⑦一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

※ただし、扶養家族の人数に関係なく一律に支給される家族手当や通勤距離に関係なく一律に支給される通勤手当などは、時間外手当単価に含まれます。

Q.毎月正しい時間外手当や休日手当、深夜手当がもらえているか不安です。
 私の勤務の場合は、それぞれいくらもらえますか?

計算事例
時給1,200円
残業時間:40時間
休日出勤時間:8時間 
深夜労働時間:10時間

時間外手当、休日手当、深夜手当は以下の式で計算することができます。
時給 ×「残業時間」or「休日出勤時間」or「深夜労働時間」× 割増率

上記の式を計算事例の場合で計算すると、それぞれ以下の金額になります。
時間外手当
1,200円×40時間×1.25=60,000円

休日手当
1,200円×8時間×1.35=12,960円

深夜手当
1,200円×10時間×1.25=15,000円

終わりに

今回は、皆様からよくお問合せがある時間外手当についてご説明いたしました。
時間外手当や休日手当などを適切に支払わなければ、賃金の未払いとなってしまい、従業員と会社でのトラブルの原因になることや罰則が科せられる場合があります。
勤怠を正しく把握し、時間外手当や休日手当などを支払うことが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

川名 天翔

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