社労士オフィスろーどの川名です。
今回は、会社に雇われる労働者が業務が原因で怪我や病気になったときに給付を受けることができる「労災保険」の中から、「休業補償給付」についてご説明させていただきます。
労災保険とは?
そもそも労災保険とは、どのような保険なのでしょうか?
目的
労働者の業務中の怪我や通勤中の怪我に対して、迅速かつ公正な保護をするために必要な保険給付を行うことを目的とした保険です。また、被災労働者の社会復帰の促進を図ることや、労働者の福祉の増進に寄与するための給付や取り組みも、労災保険にはあります。
労働者を1人でも雇用している事業者は、労災保険に必ず加入することが法律で義務付けられており、保険料は従業員の給与からは控除されず、100%事業者が負担します。
労災保険は、事業主が収めた保険料を政府が管理し運営する「国の保険制度」です。
対象となるケガや病気
「仕事中」や「通勤途中」に起きた出来事が原因による負傷・病気・死亡に対して給付されます。
労災保険の種類
労災保険の種類は以下の給付金があり、それぞれの状況に応じて給付金が支給されます。
今回は休業補償給付にスポットを当てて解説いたします。
休業補償給付とは?
仕事中に負った怪我や病気によって働けなくなってしまったら、給与がもらえないため、生活するのが困難になります。
そこで被災労働者の生活が困難にならないよう、被災労働者を守るために国が定めた基準で給付を支給する制度を「休業補償制度」といいます。
Q.休業補償給付はいくらもらえますか?
A.休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付→60%+休業特別支給金→20%)が支給されます。
※給付基礎日額とは、原則として労働基準法の「平均賃金」に相当する額をいいます。
平均賃金とは、原則として、事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金を算出した額のことです。(「賃金」には、臨時的支払われた賃金、賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。)
<休業補償給付の計算例>
■月30万円の賃金を受けており、賃金締切日が毎月末日で、事故が8月に発生した場合
・30万円×3か月間 = 90万円
・90万円÷92日(5月:31日、6月:30日、7月:31日)
=給付基礎日額 9,783円(1円未満の端数がある場合は、1円に切り上げます。)
・給付基礎日額 9,783円×80% = 休業補償給付額 7,825円 × 休業した日数
参考:厚生労働省「労災保険に関するQ &A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154476.html
Q.労災で1日でも会社を休んだら、休業補償給付をもらえますか?
A.休業が1日だけではもらうことができません。
休業補償給付は、怪我や病気でお休みをしてから通算で4日以上経っていることが支給される条件になります。
Q.休業期間中に働いた場合はどうなりますか?
A.休業中に働いた日については、会社から賃金をもらっているので、休業補償給付を受けることができません。
「休業により賃金をもらえない期間(時間)」が補償の対象となります。
Q.休業補償給付をもらっている場合、社会保険料はかかりますか?
A.休業補償給付をもらっている場合でも、社会保険料はかかります。
たとえ休業中であっても、労災以外の怪我や病気になったときは保険証を使って病院に受診するため、社会保険料は払わなくてはなりません。
おわりに
十分気を付けていても、労働災害はいつ起こるかわかりません。もしものとき労働者を保護するのが労災保険です。労災保険の制度や仕組みを知り、万が一被災してしまった際に受けられる補償を知っておくことが大切です。
労災保険について何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
川名 天翔