「生き物」を「食べ物」に換える仕事

投稿日:2019.06.16

お仕事のご縁から、最近はちょこちょこと朝霧エリアにお邪魔させて頂いています。
朝霧高原は富士山西麓の自然豊かな場所で、JR新富士駅の近くにある当事務所から富士山の方角を目指して車で走ると40分程で着くことができます。仕事でお邪魔しているのに、「今日は日曜日だったかな?」と錯覚してしまうくらい、心身ともにリラックできる場所です。

この朝霧エリアには、「酪農家」と呼ばれる、牛を育てて毎日乳を搾ることを仕事とする方がいらっしゃいます。朝霧の酪農家は47件、エリア合計で約5,000頭の乳牛を飼育しており、本州では最大規模の生乳産地です。
朝霧での酪農の始まりは終戦が契機とのこと。戦争が終わり、国営事業として朝霧の開拓が始まり、長野県から若い青年が移り住んで開墾を実施。最初は米や野菜をつくろう!と努めましたが、栄養分の無い土で肥料・作業機がない状態では農作物が育たず、国の主導により牛を飼い始めたことが酪農地域としての第一歩であったそうです。

何人かの酪農家の方とお話をさせて頂く中で、2つのことを感じました。
1つは、酪農家も生産性を上げなくては生き残れないという厳しい現実です。
全国的にも酪農家の件数や飼育頭数は年々減少傾向にあり、後継者・労働力の不足が大きな要因となっています。酪農家の1日は、『毎朝牛の乳を搾る。その後、牛舎の清掃をしてから休憩。夕方から餌やりをし、夜の搾乳が終わったら1日の作業終了。』という感じです。毎日継続するには体力はもちろん必要ですし、牛の気持ちや行動に合わせて自分が働くわけですから、忍耐力や持続力も求められます。

そのような現状を踏まえ就農者を増やすため、酪農家の皆様はそれぞれに以下の取組を行っていました。
・ITを積極的に導入し、省力化することで女性でも働ける環境を整備する。
・牛をパソコン管理することで、人の目による見逃しを防ぎ、生産乳量を安定させる。
・外国人の雇用を促進する。
・就農者が休暇をとれるようスポットで仕事に入ってくれる酪農ヘルパー制度を積極活
用する。

現状維持は衰退。生き残るためには常に進化を目指し行動する。酪農現場にも厳しい競争社会が存在していると感じました。

2つ目は、「生き物」を「食べ物」に換える仕事により私たちは生きているということ。
酪農家の皆様が飼っている乳牛から乳は搾られる。また農家さんにより大切に育てられた牛、豚、鶏は生きたまま出荷され、処理場で解体されて私たちの手元に届けられる。
動物の命を頂くことで人は豊かに生きていること。動物の命を安全な食べ物に換える仕事をしている人がいること。

本当に恥ずかしいですが、私はその感謝の気持ちを忘れてしまうことがあります。せっかちで未熟な私はこれからも忘れてしまうと冷静に分析しました。
そこで、これからは「感謝すること」を頭で考えることを重視せず、「精一杯生きること」を行動で示すことで、動物や生産者の皆様に対する感謝に代えさせて頂くことを決意しました。