「130万円の壁」の考え方が令和8年4月から変わりました ~社会保険労務士事務所がわかりやすく解説~

投稿日:2026.05.17

社労士オフィスろーどの鈴木です。

今回は、令和8年4月に制度改正が行われた「130万円の壁」について解説させていただきます。

130万円の壁とは?

「130万円の壁」とは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の扶養に関わる基準のことを指します。

年収130万円未満で働く場合は、配偶者等の扶養者として健康保険及び厚生年金保険に加入することができ、ご自身で社会保険料を支払う必要がありません。
しかし、年収が130万円(60歳以上又は一定の障害者の場合は180万円)を超えると、扶養から外れ、ご自身で国民健康保険・国民年金、もしくは会社の加入する協会や組合へ社会保険料を支払う義務が生じます。

扶養の範囲で働いている方が今まで負担していなかった保険料を負担することになると、手取り収入が減ってしまいます。
そのため、扶養の範囲で働くことを希望している方や会社の労務担当者は、きちんと制度を理解し、扶養の範囲で働ことができる働き方を管理・実施する必要があります。

今回のブログでは、従業員50名以下の中小企業で働くパート社員様を主な対象として、制度改正について解説します。

※事業所の従業員数が「51名以上」で「週20時間以上」働く方は、「年収106万円以上」で会社の社会保険に加入する必要があります。これに該当する方は今回の制度改正の対象ではありませんので、予めご承知おきください。

令和8年4月以降の「130万円の壁」の変更点

従来の「130万円の壁」の考え方

これまでの制度と比較をするために、制度改正前の年収130円の判断基準についてご説明します。

改正前は「実績」を重視した制度であり、基本給・通勤手当・残業代・賞与など、すべての収入の総支給額が年間130万円以内である必要がありました。

また、扶養加入の有無についての詳細な判断は、加入先の協会けんぽや健康保険組合によって若干異なることがあり、これまではその詳細な判断基準を知る機会がありませんでした。

その為、急な繫忙で通常より労働時間が多くなった場合は、その後に労働時間を調節し、急激な収入の増加を控え、年間を通してなるべく収入を一定にするなどの配慮が必要でした。

制度改正後の「130万円の壁」考え方

令和8年4月からの、改正後の年収130円の判断基準についてご説明します。

改正後は「契約」を重視した制度となりました。
月ごと変動する「実績」ではなく、会社と従業員間が交わす「労働契約」の中での年間収入が130万円以内であれば、扶養の範囲で働くことができるようになりました。

この制度改正には、2つのメリットがあります。
1つ目は、契約締結時には想定できなかった突発的な残業は、“一時的な収入の増加”とみなされ、年収の計算に含める必要がないことです。
2つ目は、労働契約を交わした時点で扶養加入有無の判断が明確にできるようになったことで、1年間扶養認定有無に対する不安がなくなることです。
ただし、契約と実態が乖離している場合は扶養が取り消される場合があるため、注意が必要です。

改正前と改正後の違いをまとめると、以下表の通りとなります。

「130万円の壁」制度改正に関するよくある質問

Q①.基本給の他に、通勤手当も支給されていますが、この手当も収入に含まれますか?

「雇用契約書」や「労働条件通知書」に通勤手当についての記載がある場合は、収入に含まれます。
通勤手当だけではなく、たとえば資格手当など契約書上に含まれている各種手当はすべて収入に含まれます。

Q②.副業で収入を得ている場合は、どのように年収を計算すればいいですか?

本業だけでなく、本業と副業との契約内容を合算して、年収130万円以内である必要があります。

Q③.賞与は年収130万のなかに含まれますか?

予め支給が定められている賞与の場合、年収に含まれます。

Q④.130万円の壁についての相談窓口はありますか?

厚生労働省は、年収の壁についての専用フリーダイヤルを設けています。
また、制度改正に関するリーフレットQ&Aも配信されておりますので、こちらもご活用ください。

【年収の壁に関する専用フリーダイヤル】
0120-030-045(受付時間 平日 8:30~18:15)

おわりに

「130万円の壁」の判断基準が「契約」を重視する制度になったため、雇用契約書や労働条件通知書上で年収が判断できるよう、基本給・所定労働時間・所定労働日数・通勤手当・その他手当をより明確に示す必要性が増しました。
また、最低賃金の改定や昇給などで賃金・働き方の変更があった場合は、都度雇用契約書や労働条件通知書を更新する旨の通知が必要となります。

私は2児の母として育児をしながら働く中で、夫の扶養範囲内で働くことを選択しています。
働き方について会社に相談して決まりを定めてもらい、そのルール上で働いている今は、日々扶養の範囲について不安を感じずに働くことができています。
そのようにしてもらって感じるのは、自分だけで日々の業務や働き方をコントロールすることはとても難しいということです。
扶養の範囲で働きたいけれど、制度について理解すること・実際の運用について悩まれている方はとても多いのではないかと思います。

制度に関して、また、パート社員等の働き方についてご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

鈴木 智香

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